任意後見契約の代替機能としての信託契約(パーソナルトラスト)

財産管理は信託契約で、身上監護は見守り契約で

ご自分の財産内容を、家族や親族にも知られたくない、ましてや第三者にも教えたくないと思う方は、信託によって財産管理を行う事ができます。

任意後見契約においては、効力が発行するのは本人が事理弁識能力が衰えて任意後見監督人が選任された以降ですが、心身ともに健常な時に、ご自分の意思で信託契約を締結することで、その意思はその後の継続されます。

この方法は、信託契約を締結した当時の本人の意思が保持されることと、かつまた、信託契約を締結した当時からの変化する状況に応じて、受託者が本人の意思に沿うよう裁量を働かせることができる内容になります。

パーソナルトラストは、任意後見契約を補完するもしくは予備的なもの、または併用して一層その機能を充実するように組成したものと考えられています。

福祉型信託契約について

法改正により福祉型のパーソナルトラスト登場

信託制度の基本的構造として、委託者から受託者に対し一定の目的に沿う管理処分を行わせるという、「債権的効力」があります。これが債権者からの強制執行等を許さないとする「信託法16条」の規定により、受託者からも一定の独立性が確保される仕組みで、信頼できる受託者を選定すれば、委託者となる本人からの財産の隔離により、『詐欺等による被害からの保護が図り易い制度』であると思われます。

本人の将来に対する不安(認知症のリスクや身体的、生理的な加齢に伴う減退)から、委託者である本人が明確な意思能力が残存している時に信託契約を締結することで、本人(委託者)がその後意思能力を喪失しても存続させる事が可能な制度です。任意後見契約の代替機能としての契約は、その信託の「意思凍結機能」及び「受託者裁量機能」及び「受益者連続機能」が最も発揮される形態になります。

信託契約における指図権者

指図権者とは実務上、任意後見受任者もしくは成年後見人等 (成年後見人・保佐人・補助人)になります。この権限行使を開始する時期は、受益者の代理人としての法定の権限が生じたとき以降となります。

信託契約は、個別の事情に応じた契約内容を設定することが可能ですが、委託者の信託目的に則って、信託設定の趣旨・受益権の承継・財産交付・同意者・指図権者、などについて信託受託会社が適当と判断する範囲内で委託者と協議のうえ、特約事項等は決められます。

残余信託財産の帰属について

信託が終了した場合の残余信託財産は、委託者の意思表示により、帰属者を定めることが可能です。

帰属者を定める場合には、住所・氏名・続柄を記載し帰属割合を定めることができます。

1.委託者の相続財産の中に本信託財産以外の十分な金融資産があるとき

2.委託者の相続財産の中の金融資産が本信託財産のみのとき

3.委託者が作成した遺言書の定めどおり帰属させるとき

また、帰属者を定めない事も可能です。その場合は委託者もしくはその相続人になります。

生活資金・住まいと信託

有料老人ホームでは入居する際に多額の一時金が必要とされ、入居後も一定金額を支払い続ける必要があります。その為、ある程度の資金的な余裕が必要になります。

入居金は自宅の売却や預貯金で賄われることになりますが、自宅は思うような価格で売れるとは限らず、その時期も不明である場合もあります。また、不動産を売却する事については家族や親族から反対される場合もあります。

そこで、利用者に所有する不動産がある場合には、不動産管理信託や土地信託を利用し入居資金を調達できる方法があります。

この方法では、所有権は移転されますが、利用者は受益権を得ることや、受託者からの独立性も一定程度確保されいるため、実質的には所有権を留保しているために家族等の反対も回避できと思われます。

任意後見契約の財産管理の代替え機能としての信託契約は、ご自分の意思でご自分の将来を考えた時に有効な契約である場合があります。

生保や損保会社の介護保険

金融商品としての介護保険

同じ介護保険という名前でも、公的介護保険ではなく、かんぽ生命保険や生命保険会社、損害保険会社が売り出している金融商品としての介護保険があります。

公的な介護保険では、介護が必要な状態となったときにサービスそのものが提供される現物支給の仕組みであるのに対して、生損保などの介護保険は所定の要介護状態になったときに、現金が保険金として支払われる物です。

その現金を、介護保険利用の利用者負担にあてたり、支給限度基準額以上の利用や民間サービス利用などにあてるかは、ご契約者の自由です。


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