保佐類型は,常に援助が必要である方が対象です

判断能力による類型化

社会が影で支える成年後見制度には、判断能力の不十分な程度によって援助の内容を区別し、補助、補佐、後見という3つの類型が設けられています。本来であれば援助が必要な内容は千差万別ですが、それぞれを個別に判定していくには限界があるために3つに類型化しています。

平成17年度の全家庭裁判所での家事審判事件集計値では、後見が71%・補佐が18%・補助が10%の比率になります。この類型は、家庭裁判所への申立時に、主治医等が記載した診断書をもとに、家庭裁判所が本人の判断能力の程度を医学的に判定する手続きとしての鑑定をするなどして、審判し決定されます。それぞれの類型の境目に明確な基準はありません。

精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分な方が保佐に相当します。これは自己の財産を管理・処分するには,常に援助が必要であるという意味になります。

  
判断能力に関する主なものは、知的能力です。

知的能力の中心は記憶力です。記憶力は、物を覚え込む能力(記銘力)と物をある期間覚えている能力(記憶の保持)と覚えていることを引き出す能力(想起)に分けられます。 成年後見制度では事理弁識能力という言葉が使われますが、これは、契約等の法律行為を適切に行うための判断能力ですので、これまでの知識や経験からその法律行為の意味を理解し、取引行為等の法律行為を決定し判断する能力になります。


同意権・取消権・代理権

判断能力の類型として後見と保佐には、医学的には明確な境目があるわけでありませんが、本人の保護者になる後見人・保佐人の同意権・取消権・代理権に大きな違いがあります。

後見類型では、日常生活に関する行為を除き、後見人がすべての行為に関して、同意権・取消権・代理権を行使します。保佐類型の場合は、保佐人が、民法12条第1項(借財、保証、不動産その他重要ま財産の売買等)で規定されている、重要な法律行為に関して同意権・取消権を行使し、その付与する内容については本人の同意が必要になります。

代理権については、申立ての範囲以内で家庭裁判所が定める「特定の法律行為」について、審判申立てとは別に代理権付与の審判申立てが必要になります。つまり、保佐人には法律上当然に代理権は付与されておらず、家庭裁判所の審判にてより特定の法律行為についての代理権が付与されます。本人の自己決定権を尊重する現行法は、代理権付与請求が本人以外の者によってなされる場合には、本人の同意がなければならない旨を定めています。


保佐人の職務

後見人と保佐人の職務では、保佐人にも、職務にあたり本人の意思の尊重と身上監護に配慮する義務を負います。これは成年後見人と基本的に同一です。この義務より保佐人には本人に対する見守り活動義務が生じます。

被保佐人は、ある程度の判断能力が残っている(残存能力)ため、被後見人に比べて法律行為をする機会が多く、それだけ保佐人と被保佐人との意思疎通を良くしておく必要があります。これらを適切に行うためにも。本人の普段の生活状況を把握していることが不可欠になります。

保佐人の職務は単に保佐の事務とあるのみで、成年後見人とは異なり、権限が限定されていますので、財産調査や財産目録の調整の定めもありません。これら以外に、利益相反行為の禁止と、居住用不動産の処分については、その代理権が付与されていても、改めて家庭裁判所の許可が必要になります。

保佐人には、補佐開始審判の取消し、後見開始、補助開始の申立権が付与されていますので、本人の身上に変化が生じ、保護の態様を変更する必要が認められるときは、別類型の法定後見開始申立て等を行う義務もあります。保佐類型では、時の経過とともに本人の判断能力が後見類型の対象に進行することがあり得るので、見守り活動により、本人の状況を常時把握しておく必要があります。


保佐類型の特徴

判断能力以外で、後見類型との違いより保佐類型の特徴は


・特定の法律行為の同意権と取消権

・代理権付与の請求には本人の同意が必要で、審判により付与

・別類型の法定後見開始申立て等を行う義務


保佐人の同意を要する行為等(民法13条)

被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為(日用品の購入そのた日常生活に関する行為)については、この限りでない。


一. 元本を領収し、又は利用すること。(元本とは、地代、家賃、利息などの法定果実を生む財産のこと)

二. 借財又は保証をすること。(金銭の借入れや保証人となることなど)

三. 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。(相当な対価を伴う有償契約のすべてを含み、介護サービス利用契約や介護施設入所契約などの、身上監護に関する有償双務契約もここに含まれます)

四. 訴訟行為をすること。

五. 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。(ここの贈与とは贈与することを示し、贈与を受ける場合は含まれません)

六. 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。(遺産分割は一般的に三に含まれますが、同意を必要とすることを明確にする為にここで挙げられています)

七. 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。

八. 新築、改築、増築又は大修繕をすること。

九. 民法第602条に定める期間(建物の賃貸借 三年)を超える賃貸借をすること。

          

保佐人の同意に代わる許可

保佐人が、被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意しないときは、被補佐人は家庭裁判所に請求して、同意に代わる許可を受ける事ができます(民法13条3項)

保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。(民法13条4項)

  

被保佐人には相当程度の判断能力があるために、その自己決定権を保佐人が不当に侵害することが無いように、家庭裁判所が審査をします。自己決定権の最大限度の尊重という制度の理念によります。


補助類型について

本人の同意が要件であることが補助の特徴になります。

自己の財産を管理・処分するには,援助が必要な場合がある、軽度の認知症・知的障害・精神障害の状況にある方が、高度な判断能力を要する法律行為について保護することを目的に創られました。

不動産の処分等重要な法律行為も、本人が行うことも可能ですが、本人の利益にためにはアドバイスを受けたり、誰かに代わってやってもらった方が良い場合に、本人の同意を得て家庭裁判所へ申立てます。本人の同意は審判の要件になりますので、申立ての時に同意があっても、審判のときに同意がなければ、補助は開始されません。

代理権や同意権の範囲・内容については、家庭裁判所が個々の事案において必要性を判断して決定して行きます。

本人の同意が要件であることが補助の特徴になります。


補助人の職務

補助人の職務は単に「補助の事務」との定めがあるだけですが、保佐人同様に、財産管理や身上監護の事務の執行については、善良なる管理者の注意義務が課され、本人の意思を尊重しながらその身上に配慮すべき義務を負っています。

家庭裁判所の審判によって、「特定の法律行為」につき代理権を付与されますが、この代理権の対象になる法律行為には法律上の制限はありません。たとえば、預貯金の管理、財産の処分、介護保険契約、入院等の医療契約などがあります。

  
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